糖尿病の予防にも筋トレ(有酸素運動もやったほうが良いようだが)
要約
・筋トレをやっている人は糖尿病になる可能性が低く、週150分以上行えばよい
・筋トレと有酸素運動の組み合わせが糖尿病予防に最も効果的である
「筋肉は糖を使う人体最大の組織なのだから筋トレをやっていれば糖尿病なんかならないんじゃい!」
脳筋の言いそうな言葉ですが、実はこれは京都大学の健康科学の講義で京都大学の教授が発言した内容です。当時私は
「うーん、いいことを言うなあ!」
くらいで終わってしまったのですが、この発言はやはり科学的にも正しいことが信頼できるデータからわかっているのです。薬学的に言うとインスリンに依存しない糖取り込みの活性化や筋肉でのインスリン感受性の向上、脂肪重量低下に伴うインスリン抵抗性の改善などメカニズムは沢山あるのですが、机上の論よりは実データです。
まず、2012年に報告された男性(40~75歳)51529名を18年間追跡調査をした結果、筋トレと糖尿病発症のリスクに以下のような関連性が認められました。
2012Arch Intern Med「A Prospective Study of Weight Training and Risk of Type 2 Diabetes in Men」より筆者作成。
上記のグラフのとおり、筋トレを行っている人は糖尿病発症リスクが低いことがわかっています。糖尿病の予防に関しては量が多ければ多いほど効果的であることもわかります。
このグラフに用いたデータは年齢、喫煙歴、アルコール消費量、米の消費量、糖尿病の家族歴、カロリー摂取量、トランス脂肪酸摂取量、不飽和脂肪酸ー飽和脂肪酸比、食物繊維摂取量、GI値、全粒穀物の摂取量(どれだけ多くの変数を調査しているのだ・・・)で調節されており、運動以外に影響する因子を考慮してたデータであることもわかります。なお、有酸素運動についても効果的であり(むしろ、筋トレよりも効果的なくらいだが、このブログは筋トレメインなので略)、筋トレに加えて有酸素運動を行うことでさらにリスクは低下し、運動をしていない場合と比較すると最大59%も低かったということもわかっています。
このデータは男性に対しての研究でした。女性についてはどうなのでしょうか?もちろん効果的です!2014年に女性(36~81歳)99316名を対象とした追跡調査では1週間当たりの筋トレの時間と糖尿病発症リスクの間に以下のような関係が見られました。
2014 PLoS Med.
「Muscle-Strengthening and Conditioning Activities and Risk of Type 2 Diabetes: A Prospective Study in Two Cohorts of US Women」より筆者作成
女性に関しても図のように筋トレの量が多ければ多いほど糖尿病の予防に役立つことがわかります。この調査もものすごく多くの生活習慣に関して調節をしており、信頼性の高いデータと言えるでしょう。ちなみに、糖尿病の予防に最も効果があったのは週150分以上の有酸素運動+週60分以上の筋トレであり、糖尿病発症リスクが67%も軽減されていました。有酸素運動派の女性も、ぜひ健康のために週1時間程度筋トレを行ってほしいと思います。肩こりにもとても効果的ですよ。
という訳で、恐ろしい病、糖尿病の予防に関しても筋トレはやはり効果的であるということが大規模な研究を行った論文でも明らかになっています。やはり筋トレは最強の薬であるのです。
参考文献
2012 Archives of Internal Medicine 「A Prospective Study of Weight Training and Risk of Type 2 Diabetes in Men」
2014 PLOS Medicine「Muscle-Strengthening and Conditioning Activities and Risk of Type 2 Diabetes: A Prospective Study in Two Cohorts of US Women」
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