筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

EPA製剤は効果があるが、大量に必要のようだ。

要約

・心血管病のリスクが高い人にはEPA製剤は効果的な可能性がある。

・効果を出すために必要なEPAは1日4gとかなり多い。

先の記事でn-3脂肪酸は心血管病の予防にはあまり役に立たない恐れがあることを紹介しました。

pharmuscle.hatenablog.com

しかし、これは一般的な人を対象としたものであり、疾病のリスクが高い人に関しては効果があるというデータもでています。

2019年にnew england journal of medicineで紹介された論文(1)によると、以下の条件

・心血管疾患のある人,または糖尿病と一つ以上の心血管病のリスク因子(血圧が高いとかですね)がある人

・スタチン療法を行っている

・空腹時中性脂肪が135~499 mg/dL

・LDLコレステロールが41~100 mg/dL

を満たした人がEPA製剤を摂ることで心血管病のリスクが下がることが示されました。

ただし、使用したEPAの量もかなり多く、1回2gを1日2回摂るということなので、1日4gというかなりの量を摂る必要があるのは難点です。ただし、今回の試験は主に中性脂肪に注目しているので、生活習慣を改めて十分に中性脂肪が下がれば、4gものEPAを摂る必要はないでしょう。

 EPAは日本でのエビデンス(2)があること(オープンラベル試験なので信頼性は気になるところですが)や、おなじオメガ3脂肪酸でもDHAの方はLDL(いわゆる悪玉)コレステロールを上げるという報告もある(3)ので、基本的にはEPAを選択するのがよいでしょう。

というわけで、健康目的で魚の油を摂る場合は、医薬品を摂る場合はEPAを選択し、サプリメントで魚の油を摂る場合はEPAが多いものを選択する方がよいと考えられます。

参考文献

 (1)2019 new england journal of medicine「Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia」

(2)2007 Lancet「Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis.」

(3)2011 Curr Atheroscler Rep.「Effects of eicosapentaenoic acid versus docosahexaenoic acid on serum lipids: a systematic review and meta-analysis.」