肝臓の数字が悪くなったのはアルコールよりも肥満が原因かもしれない
要約
・肝機能の数字の悪化はアルコールの消費よりも肥満の方が関連していた。
引き続き肝臓の数値が悪くなった弊社部長のためのシリーズを行おうと思います。部長はわりと最近現在の会社に移ってきたようで、その当時は今より10kgほど軽かったようです。しかしながら、家の近くによい居酒屋を見つけたことや、仕事がデスクワーク中心になったことから体重がものすごい勢いで増えていってしまいました。
その結果、部長よりもかなり背の高い社長から
「付き合い長いが、お前に体重を抜かされるとは思わんかったわ!」
とあきれられることとなってしまいました(ちなみに、部長は180cm)。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、部長の肝臓の数値の悪化にはアルコールの摂取と体重の増加の両方が影響していると考えられます。それでは、どちらの方がより大きな影響を与えているのでしょうか?その答えの役に立ちそうな文献(1)を見つけることができたので、紹介しようと思います。
この研究では、4年間の追跡調査を行い、調査初期のBMI、4年後のBMIの変化、そしてアルコールの摂取状況が肝臓の検査値であるAST、ALT、γ-GTPに与える影響を調査しています。
その結果、肝臓の検査値に与える影響で大きかったのは調査初期のBMIと4年後のBMIであり、なんとアルコールの摂取量とは関連がなかったという結果になっているのです。これは韓国での調査結果なので、必ずしも日本人に当てはまるとは言えませんが、同じ東アジア系なので欧米の試験よりは参考になると推測されますので、肝臓の数値の悪化はお酒よりも体重が10kgも増えてしまったことによることの方が影響している可能性が高そうです。
本当はお酒を減らすのが理想ではあります。しかしながら、お酒を飲むことが楽しみで、やめられないという人は少なからず存在します。それなのに、
「お酒をやめなくてはあんた死ぬわよ」
と冷たく言い放つ某占い師のような医療従事者は少なからずいます。
「お酒を減らすのが難しいなら体重を減らすようにしてみては?腰痛もよくなりますよ。」
と提案する方が私の好みであり、科学的なアドバイスです。
参考文献
(1)Int J Epidemiol 2001「Body weight, alcohol consumption and liver enzyme activity--a 4-year follow-up study.」