筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

トクホの食物繊維で中性脂肪を下げるには、相当な量が必要なようだ。

要約

トクホによく用いられている難消化デキストリンが脂質に与える影響は以下である

中性脂肪を下げるには1日20g以上摂る必要があるが、そこまで効果は大きくない。

コレステロールは少し下がるようである。

 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品としてよく用いられる成分に難消化デキストリンというものがあります。難消化デキストリンは味や色がほとんどなく、水にも溶けやすいため様々な商品に利用しやすいという長所があり、飲料や食品など様々なものに利用されています。

 血糖値や中性脂肪コレステロールに対して効果があるという文言がよくみられます。こう書くと何でも効くように思える素晴らしい成分のように思えてきますが、それでは実際はどの程度効果があるのでしょうか?

 2018年に発表された論文では(1)、難消化デキストリンが血中脂質に与える影響のメタ解析を行っています。

この結果、中性脂肪に与える影響に関しては

・全体としては、統計学上認められる効果がなかった。

・1日20g以上とると、中性脂肪が平均6.23 mg/dL低下した。

という効果となりました。一般的なトクホは1回あたり5gの難消化デキストリンが含まれているので、4回分摂取しないと中性脂肪は下がらないということになります。下がるとしてもその値は6mg/dL程度とそれほど大きなものではなく、他の安価な成分を利用したほうがよいように感じます。

また、コレステロールに与える影響に関しては

・総コレステロール 平均7.33 mg/dLの低下

・LDLコレステロール(いわゆる悪玉) 平均3.40 mg/dLの低下 

という結果となりました。コレステロールのほうに関しては効果を期待してもよいようですが、効果はそこまで大きいわけでもないということもわかります。

 というわけで、難消化デキストリンは効果はあるもののその数値はそこまで大きいものではなく、中性脂肪に関しては1日20g以上と相当量が必要であることがわかりました。1日20gもの難消化デキストリンを摂ることはコストもかかりますし、お腹がかなり緩くなってしまうおそれもあるので現実的ではないでしょう。

 あくまでも難消化デキストリンは「食後」の血糖値や脂質の増加を緩やかにすることを目的としたうえで採用したほうがよいでしょう。

参考文献

(1)2018 Nutrition Research「Meta-analysis indicates that resistant starch lowers serum total cholesterol and low-density cholesterol