アンモニアはデッドリフトの重量には影響しない・・・

要約

・デッドリフトの試技の前にアンモニアを嗅いでも重量は伸びない。

昔は（というより、もともとは）パワーリフティングの大会によく出ていました。その際に時々見られるのが、なんやら怪しいビンを匂ったあとにしかめっ面をしてから試技に移るという光景です。

これは違法な薬物を吸っているわけではないのですが、なかなか過激なものを嗅いでいます。その名は

「アンモニア」

です。アンモニアは刺激臭のある物質です。学校の理科の授業でアンモニアを発生させるという実験があったと記憶していますが、その時のにおいといえばあまりの酷さで表現することができません。このひどい臭いを嗅いで、交感神経を刺激して試技に移ると重量が伸びるのではないか？という考えで利用しているようです。それではこの行為には科学的エビデンスがあるのでしょうか？

　そう思っていたらちょうどよい論文を見つけることができました（1）。この論文電はデッドリフトと呼ばれるパワーリフティングの種目の一種を行う直前にアンモニアを嗅ぐことがデッドリフトの挙上重量に与える影響を調べています。その結果は残念な限りで、アンモニアを嗅ぐことはデッドリフトの挙上重量に特に影響は与えませんでした・・・

　どちらかというと技術よりもパワーや気合が重要なデッドリフトで効果が見られなかったということは、ベンチプレスやスクワットにも役立たないと考えられます。私ならば、集中力の増すアロマを利用します（最近アロマにも凝っているので、そのうち記事にできれば。）。

参考文献

(1)2018 J Strength Cond Res.「Ammonia inhalation does not increase dead lift one-repetition maximum in college-aged male and female weightlifters.」