HMBは筋肉には少し効果がある(ダイエット効果は期待しない方がよい)。
・HMBは骨格筋量と筋力の増加にすこし役に立った。
・HMBで体重や脂肪が減るわけではない。
某ニュースアプリを見ていると、よくサプリメントの広告が目に入ります。その中でも筋肉を鍛えている人にとって気になるのはHMBではないでしょうか?その広告では筋肉で有名な芸人や俳優が
「HMBを使えばジムなんていらない!」
というような衝撃的なことを書いています。
はっきり言ってHMBを飲めばジム要らずでムキムキになって脂肪も減るというのは常識的に言って考えにくいですが、科学的な見地では実際のところはどうなのでしょうか?
・HMBとは?
まずはHMBについての説明をしましょう。HMBとはロイシンと呼ばれるアミノ酸から作られるアミノ酸誘導体で、ロイシンから5%程度変換されると考えられています(1)mTORを刺激することで筋タンパクの合成を促進すると仮定されており、これまでも筋肉とHMBの関連について多くの研究がなされてきました(2)。HMBの効果については、とても効果があったという報告と、効果がなかったという報告の両方があり、その効果はあいまいなままでした。
しかしながら今回、有力な栄養学専門誌であるAmerican Jouranal clinilal NutiritionでHMBが筋肉や筋力、脂肪などに与える影響を解析したSystematic review and meta-analysis(3)が発表されましたので、紹介することにしましょう。
・HMBは何にどれだけ効くのだろうか?
今回の解析の結果、
・筋肉量と筋力の増加には少し効果があった。
・体重や脂肪量には特に影響しなかった。
ということが示されました。一応筋肉には役立つことがわかったのですが、その効果は統計学的にみるとそれほど大きくないことも分かっています。
また、某広告では明らかに体重も脂肪も減っているように見えましたが、科学的にいうとそのような事実はないということもわかっています。
現状を考えると、やはりまずは筋トレを行い、食事のタンパク質量を気をつけながら普通にプロテインを摂るというのが王道でしょう。(最近買ったプロテイン。波動拳味はスポーツ飲料系の味でなかなかうまい。マイプロテインはチョコレート系は薬っぽくてイマイチだったが、ブルーベリーはまあまあいける。)
・どうしたら有効活用できる?
「HMBを沢山買っちまったけど、効果が微妙ならば飲む意味はないじゃないか!」
という人もおられるかもしれません。一応効果的な方法があり、HMBとともにアルギニンとグルタミンを同時に摂ると筋肉増加効果が高いという結果になっています。
「HMB、私には効果があったのだが・・・」
という人はもしかしたらアルギニンとグルタミンを同時に摂っていたからかもしれません。予算が特に限られてない人は、アルギニンとグルタミン、またはそれと関連したシトルリンやオルニチンを一緒にとってもよいかもしれません。
いずれにしても、筋トレあってこそのサプリメントです。まずは筋トレをすることを第一としましょう!
参考文献
(1)Amino Acids 2011「HMB supplementation: clinical and athletic performance-related effects and mechanisms of action.」
(2)Journal of the International Society of Sports Nutrition 2013「International Society of Sports Nutrition Position Stand: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB).」
(3)2019 Am J Clin Nutr 「β-Hydroxy-β-methylbutyrate and its impact on skeletal muscle mass and physical function in clinical practice: a systematic review and meta-analysi」