筋トレによる筋肉痛に役立つアミノ酸の種類と量、選び方
要点
・筋肉痛の軽減を目的にするためにBCAAを摂るにはトレーニング前に体重あたり0.1gのBCAAを摂るとよい。
・タウリン2~3.5gを摂ることで筋肉痛が軽減できる可能性がある。
・グルタミンでは筋肉痛を軽減するにはかなりの量が必要。
筋トレをする中で困りものなのが筋肉痛です。多少の筋肉痛は達成感を生み、狙った筋肉を鍛えたという指標になるのでむしろ好ましいものですが、基本的には避けたいものであります(私のように「昨日の筋トレ上手くいっているぜ」と悦に浸る変人も稀によくいますが・・・)。
また、筋肉へのダメージは筋肉の肥大やタンパク質合成に影響するわけでもないという論文もあり、No Pain No Gain は間違いである可能性もあります。
そこで、筋肉のダメージを抑えられる方法としてアミノ酸を取ることが挙げられます。その方法ついて科学的に紹介していこうと思います。
BCAA 効果的だがトレーニング後に飲んでも効果は薄い
本格的な筋トレをしている人にとっては必須サプリメントとして有名なBCAAですが、筋肉痛の軽減にも役立つという論文もあるので、健康目的で筋トレを行っているおすすめです。確かにバトミントン部や野球部の人に勧めたところ、筋肉痛が軽減したと喜んでくれました。
BCAAと筋肉痛の関係を検討した論文のBCAAの量は1.22g(ISRN Nutr. 2013 Branched-Chain Amino Acid Plus Glucose Supplement Reduces Exercise-Induced Delayed Onset Muscle Soreness in College-Age Females)とごく少量から20gまでとかなり幅があります。
1.22gと少量のBCAAを摂取した場合は女性のみに筋肉痛低減効果があったということなので、体重や筋肉量が多い男性には不十分な可能性があります。体重1kgあたり0.077gのBCAA(体重70kgの人なら5.39g)でも男性に対してはまだ効果が薄いというデータ( 2006 J Nutr. Nutraceutical effects of branched-chain amino acids on skeletal muscle.)もあります。筋肉痛の改善に必要な量は体重1kg当たり0.1g程度のBCAAが必要ではないかと推測されています。
さて、BCAAですが、これまで紹介したトレーニングの前にBCAAを摂取した実験データになります。筋トレの前にBCAAを摂ること筋肉のダメージをおさえることができ、筋肉痛を軽減できるという理屈になります。それではジムにBCAAを持ってくるのを忘れてしまい、トレーニングの後に飲んだ場合はどうなるのでしょうか?
実は筋トレの後にBCAAを飲む場合筋肉痛がどうなるかを調べた論文を2つ
(2017 The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness Effect of BCAA supplement timing on exercise-induced muscle soreness and damage: a pilot placebo-controlled double-blind study
及び2016 International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism Post-exercise branched chain amino acid supplementation does not affect recovery markers following three consecutive high intensity resistance training bouts compared to carbohydrate supplementation.)
見つけることができましたが、どちらも筋トレ後にBCAAを摂取しても筋肉痛や筋肉のダメージの指標に特に影響はなかったという結果になってしましました。よって、筋肉痛の軽減を目的とした筋トレ愛好家にはBCAAをトレーニング後に摂ることは目的に反することが示されました。
タウリン 定期的な摂取、BCAAとの併用が筋肉痛の軽減に役立つかも
BCAAが筋肉痛の軽減に役立つことはわりと有名な話なので、他のアミノ酸が筋肉痛の改善に貢献しないかと考え、調べてみました。
その結果、1日に体重1kgあたり50mgのタウリン(70kgの人なら3.5g)を定期的に摂っておくこと(2014 Effects of taurine supplementation following eccentric exercise in young adults Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism )や
BCAA3.2gに加え、タウリンを2g摂ること(2013 International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism Combined effect of branched-chain amino acids and taurine supplementation on delayed onset muscle soreness and muscle damage in high-intensity eccentric exercise)で改善することが示されています。魚介類に多く含まれていますが、この量を毎日食事で摂るとなると手間や費用かかるので、サプリメントを使ってもよいでしょう。
グルタミン 筋肉痛の軽減には大量の量が必要
アミノ酸が筋肉痛に役立つかどうか調べている中で、グルタミンサプリメントが効果的がどうか調べた論文を見つけることができました。
その結果、体重1kgあたり0.1gのグルタミンを摂った場合は筋肉痛に特に影響が見られなかった(2013 Iranian Journal of Basic Medical Sciences Effect of L-Glutamine Supplementation on Electromyographic Activity of the Quadriceps Muscle Injured By Eccentric Exercise)一方で、体重1kgあたり0.3gのグルタミンを摂った場合は筋肉痛が軽減された( 2011 J Exer Sci & Fit. Glutamine supplementation in recovery from eccentric exercise attenuates strength loss and muscle soreness.および2015 Int J Sport Nutr Exerc Metab. The Influence of Oral L-Glutamine Supplementation on Muscle Strength Recovery and Soreness Following Unilateral Knee Extension Eccentric Exercise. )
という報告があります。70kgの人に換算すると、7gの摂取では筋肉痛に効果がなかったが、21g摂ると効果があるということになります。1回21gはちょっと多いように感じますが、プロテインにもある程度グルタミンが入っているので、プロテインも飲む人はもう少し少ない量でもよいかもしれません。
よって結論としては、筋肉痛目的でアミノ酸を摂るなら
・トレーニングの前に体重1kg当たり0.1gのBCAAを摂る
・さらに効果を求めたいならトレーニング前にタウリン2g、
トレーニングの後のプロテインに21gのグルタミンを混ぜておく
とよいことがわかりました。筋トレは好きだけど、筋肉痛が苦手だという人は参考にしていただければと思います。