筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

酒を飲みの肝臓に亜鉛がよいかもしれない。

要約

・アルコールを飲むと亜鉛が不足し、肝臓にダメージを与える恐れがある。

亜鉛を摂取することでアルコールを飲んでいる人の肝臓によい影響がある可能性がある。

 今日は部長のパーソナルトレーニングを行ってきました。筋トレの面白さをわかってくれたようでなによりなのですが酒による肝臓については気になるところです。部長は単に好きだから飲んでいるのですがホンマに好きなようなので、病院のように機械的に「酒をやめろ」というアドバイスはしたくありません。また、弊社の重役のように仕事上の付き合いで飲まざるを得ない人も多いと思います。

 そこで何かよいものはないかと探していたところ、どうやら筋トレ愛好家もよく摂取する亜鉛が役に立つのではないかという情報を見つけることができました。亜鉛は必須ミネラルの一つで、不足すると味覚障害を起こすことで有名です。筋トレ愛好家はリカバリー目的で亜鉛サプリを利用することが多いのですが、どうやらアルコールと肝臓にも大いに影響しているようです。

 亜鉛は生体内で起こる様々な化学反応の調節に必要なミネラルなのですが、関与するものの中には肝臓での代謝で重要や役割を果たすHNF4αや PPARαも含まれています(1)。

 お酒をたくさん飲む人は亜鉛が不足していることが多いと報告されているのですが、これはお酒を飲む習慣がある人は食事の質が低いという理由もあるのですが、アルコールの摂取は尿への亜鉛の排泄を増やしたり、肝臓での亜鉛の蓄積を抑えるなどメカニズムで肝臓での亜鉛不足を引き起こすことが示されています(2)。

 アルコールによる亜鉛不足は肝臓に大きな影響を与えるようで、大酒のみの人を対象とした調査では、亜鉛不足の程度がひどいほどAST/ALT比が高く、脂肪肝が進んでいることが示されています(3)。

 このようにアルコールによる亜鉛不足は肝臓に悪影響を及ぼすことがわかっているのですが、アルコールを飲んでいる人が亜鉛を補給することにより、肝臓によい影響を及ぼすことが示されています。アルコールを飲んでいる人人を対象とした試験では

亜鉛の摂取によって血中の炎症物質の濃度が下がり、肝硬変の程度が改善した。

亜鉛を摂取しなかった群は肝臓の値が悪化した一方で、亜鉛を摂取した群は肝機能が安定していた。

ということがアルコール性肝疾患と亜鉛との関係をまとめた論文で紹介されています(4)。

亜鉛サプリメントはどこでも手軽に買うことができますので、気になる人はドラッグストアなどで探してみてもよいでしょう。サプリメントはちょっと・・・という方は、牡蠣やアーモンドにとても多いことがわかっているので、お酒を飲む際のつまみとするとよいのではないでしょうか。ナッツ類は食物繊維も多いので腸内環境改善も通じて、肝臓に役立ってくれるかもしれません。

参考文献

(1)2009 Hepatology「Zinc supplementation reverses alcoholic steatosis in mice through reactivating hepatocyte nuclear factor 4alpha and peroxisome proliferators activated receptor-alpha. 」

(2)2014 Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.「Dysregulation of hepatic zinc transporters in a mouse model of alcoholic liver disease.」

(3)2018 J Nutr Biochem「Association of serum zinc with markers of liver injury in very heavy drinking alcohol-dependent patients.」

(4)2017Curr Treat Options Gastroentero「Role of Zinc in the Development/Progression of Alcoholic Liver Disease」