筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

ピーナッツは健康にどのような影響を与えるのだろうか?

要約

・ピーナッツの摂取はHDLコレステロールの上昇と関連していた。

・ピーナッツの摂取はHDLコレステロールを除くと、健康診断の数値に影響を与えることはなかった。

 最近、ナッツへの健康効果が注目されています。ナッツ類は脂肪が多く、カロリーが高いので体によくないのでは?という時代もありましたが、実際にはビタミン、ミネラル、食物繊維といった有用な栄養素の宝庫です。そのためナッツ類の摂取量が多い人は疾病のリスクや全体の死亡率が低いという驚くべき報告までされています(1)。

 そのデータを知っているので、夜にコンビニで菓子パンばかり食べている社長に

「カロリー低めのコンビニ弁当とナッツにしてはいかがでしょうか?」

と勧めました。実行してくれそうなのですが、そこで

「話を聞いているとナッツは体によさそうだし、続けられそうやね。ところでピーナッツはどうなの?」

という興味深い答えが返ってきました。ピーナッツも他のナッツ類と似たような栄養価であるため、その場では大丈夫ですと答えました。

 しかしながら、バターと塩でいためられたり、糖分入りのピーナッツバターとして摂られることも多く、どちらかというと体に悪い印象もあります。それでは実際のところ、ピーナッツは健康にとってどうなのでしょうか?社長はピーナッツを食べてしまっても大丈夫なのでしょうか?

 そう思っていると、2019年に発表された論文(2)でピーナッツの systematic review and meta-analysisを見つけることができたので、紹介しようと思います。この解析の結果、ピーナッツの摂取量が多いことはHDLコレステロールが高いことと関係していることが明らかとなりました。しかしながら、体重、腹囲、血圧、中性脂肪やHDL以外のコレステロールに関しては統計学上有意な差は見られませんでした。

 栄養組成が他のナッツ類と似ていたり、ピーナッツの皮には一時期流行したレスベラトロールが含まれているなど、健康に良いことを期待したのですが、役に立つのはHDLコレステロールのみでした。とはいえ、健康診断の値に悪影響を及ぼすことはありませんので、真っ当な量であればピーナッツは気にせずに食べて大丈夫だということになります。社長はHDLコレステロールが低めだといわれているので、買ったナッツがピーナッツでも健康に役立ってくれるでしょう。

 ただし、輸入のピーナッツはカビが産生する猛毒であるアフラトキシンが入っていたという報告もあります(3)ので、ピーナッツに関してはあまり安すぎる商品の選択は避け、国産のものを選ぶ方が良いのではないでしょうか。

 (記事を書いていたらピーナッツが食べたくなってしまった。結構高いな・・・)

参考文献

(1)2017 Food Funct.「Nut consumption in relation to all-cause and cause-specific mortality: a meta-analysis 18 prospective studies.」

(2)2019 Crit Rev Food Sci Nutr.「Peanut and cardiovascular disease risk factors: A systematic review and meta-analysis.」

(3)東京都福祉保健局HP 食品安全の窓 アフラトキシン

www.fukushihoken.metro.tokyo.jp