膝の痛みの改善には減量だけではなく、運動が必要である。
要約
・食事で体重を落とすだけでは膝の痛みは改善しなかった。
・食事と並行して運動をすると膝の痛みは改善した。
体重が重いと膝に負担がかかるというのは常識的にいって正しいです。確かに相撲を見ていると膝回のテーピングが痛々しい(もちろん体重だけではなくて競技特性によるものも大きいのだろうが。)。
というわけで痩せれば膝が良くなりそうだと考えるのはいたって普通ですが、なかなか単純なものではないということが2018年に発表されたsystematic review and meta-analysisでも明らかになっています。
この論文での解析の結果、食事によって体重を減らした人たちの膝の痛みについては改善が見られなかったという意外な結果が示されています。身体機能に関しては改善しているので決して無駄だというわけではないのですが、痛みが減らないのは困ったものです。
その一方で、食事と運動を組み合わせて減量を行った群は身体機能の改善とともに、膝の痛みの改善も見られたという結論になっています。
というわけで、膝が痛くてかつ体重が気になっている人は、運動をしつつ食事を気を付けて減量に成功すれば痛みも改善し、薬をやめる可能性が高まるということになります。
膝が痛い人は大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が弱っていることが多いので、スクワットができない場合はレッグエクステンションやレッグプレスを行うのがよいでしょう。大腿四頭筋だけではなくお尻の筋肉が弱っていることもあるので、併せてバックキックやリバースハイパーを行うのもよいでしょう。
筋トレはちょっと・・・という場合は有酸素運動も有効です。体重が重いうちは跳んだり走ったりする有酸素運動は膝に負担があるおそれもあるので、自転車(マシンも可)やプールも有効です。
前向きな姿勢と科学的な対応で、調子を良くしていきましょう。
参考文献
Semin Arthritis Rheum 2018「Diet-induced weight loss alone or combined with exercise in overweight or obese people with knee osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis.」