筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

食品からどれだけのカルニチンが摂れるのだろうか?

要約

食品で高容量のカルニチンを摂ることは現実的ではない。

なんかカルニチンの記事がよくアクセスされるようなのようなので、カルニチンを再度取り上げようと思います。メディアなどで

「~肉はカルニチンが多く含まれているのでダイエットに良い!」

という紹介がなされることは沢山あります。確かに先に取り上げた記事

pharmuscle.hatenablog.com

 ではカルニチンはダイエットに良い可能性は高いと言えます。しかし、食事に入っている量で本当に目的となるカルニチンを摂れるのでしょうか?

ここで食品のカルニチン含有量の調査論文をいくつか発見したので、紹介しようと思います。

かなり古い論文を使いますが、種類数が多いのと国内のデータでちょうどよいと思い、これを選択しました。ざっと最近のデータも見ましたが、大きな乖離はなさそうです。

まずは植物中のカルニチンの紹介です。

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右の総カルニチンで判断すると良いと思うのですが、やはり植物にはカルニチンはほとんど含まれていないようです。アボカドは多少入っているようですが、ダイエットに役立つ量(前回紹介した論文では1.6g)をアボカドだけで摂るとなると2万キロカロリーを優に超えてしまい、オリバ・ビスケットでもない限り不可能ということになります()。

次に魚介類です。

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植物に比べて含有量が多くなっているのがわかります。意外なのはまぐろのカルニチン量がかなりすくなく、アボカドよりも少ないことです。赤身で牛肉に見た目は似ているのに不思議なものです。赤貝がこの中では多いようですが、最も濃度の高い筋肉のみ選んで食べても900g程度摂らないとカルニチン1.6gに相当する量を摂れないということになります。高級食材の赤貝をそれだけ食べれるのはかなりのお金がかかってしまい、現実的ではありません(量もですが)。

 最後に、カルニチンの多い食品の代表である肉類などのデータを紹介します。

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以上日本 栄 養 ・食 糧 学 会誌Vol.37 No.1 13~17 1984より引用

 肉類の含有量も多いことがわかります。卵に全く含まれていないことは意外です。畑の肉と呼ばれる大豆ですが、それから作られる豆乳はやはりカルニチンが含まれていません。さて、多く含まれているとされる牛肉ですが、100gあたり130.7mgでした。牛時々話題になる羊肉はどうでしょうか?この量についても本文中に言及があり、100gあたり159.7mg~209.3mgという結果になっています。というわけで、カルニチン1.6gを肉で摂るとしても最低でも800gの肉をとる必要があり、現実的ではないということがわかります。

 というわけで、すくなくともカルニチンによるダイエット効果を目的として特定の食品を食べるというのは現実的ではなく、カロリーオーバーになってしまう恐れが高いということが示されてしまいました。ダイエット目的であればおとなしくサプリメントを摂ったほうがよさそうです。 

 有名なカルニチン商品たち。

しかし、メタ解析で用いられたカルニチンの最低量が1日1.6gだったので今回1.6gを目安としたものの、やはり多いようにも思えます。よって、少なくともどれだけとればよいか、効果的な飲むタイミングなども近々紹介しようと思います。

参考文献

日本 栄 養 ・食 糧 学 会誌Vol.37 No.1 13~17 1984
「食品中 カルニチン含量 の酵素法 による検討」