筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

ベリー類で中性脂肪が下がるかもよ

要約

・ベリー類に多く含まれるアントシアニンを摂ることで、中性脂肪が下がる。

 学生時代はかなり極端な低炭水化物食でダイエットを行いました。確かに痩せることはできたのですが、直感的にこれは長期に続けるものではないと感じていました。大学で栄養学を教えられている先輩からも

「それは健康に良くないから長期ではしない方がよい」

と指摘をされました。その後の血液検査で肝機能の数値がギリギリアウトになっており、やはり多少は炭水化物を摂らないといけないなあと思ったものでした。

そして、大規模な解析でもやはり極端な低炭水化物食が悪いことが示されています↓
pharmuscle.hatenablog.com

というわけで、今回は炭水化物もそれなりに摂取してダイエットをしようという目標をたてて行いました。摂取量には気をつけつつも、だいたい毎食炭水化物を摂取するような食事をしました。その結果、当日の計量では58.7kgと小学5年生以来の体重をはじきだし、炭水化物をとっても痩せることはできることを示すことができました(小五で58.7kgってどんだけ太っていたねんという感じですが)。

 前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのはアントシアニンという成分です。アントシアニンは赤色、紫色の植物に多く含まれる成分で、目の健康に役立つことの方が有名です。しかしながら、実はアントシアニンが多い果物はダイエットに役立つという報告もあります(1)。今回の減量期のおやつとしてブルーベリーをよく食べていたのですが、これはアントシアニンを摂るのも目的でした。

 このアントシアニンですが、薬理的には抗酸化作用、抗炎症作用、糖吸収抑制作用、腸内環境の改善があることが示されており(2,3)、ヒトを対象とした試験でもその有効性が多数発表されているのですが、今回は友人が困っている中性脂肪についての論文を紹介しようと思います(4)。

 この文献でのメタ解析の結果、脂質異常症の人がアントシアニンを摂ることによって

中性脂肪の低下(平均-26.14mg/dL)

・総コレステロールの低下(平均 -24.06mg/dL)

・LDLコレステロール(いわゆる悪玉)の低下(平均 -22.10mg/dL)

HDLコレステロール(いわゆる善玉)の増加(平均5.58mg/dL)

という血中脂質の改善を示したという結果となりました。この数値は薬剤師的な観点でもかなり優れた変化であり、トクホの成分を摂るよりもよいのではないか?と思うくらいです。

 この論文でのアントシアニンの1日の摂取量は90mg~320mgとなっています。ブルーベリーに含まれるアントシアニンが1gにつき1~6mg程度含まれているという報告があるので(4)、ブルーベリーにすると1日90g程度、品種を選べば15g程度で最低限の量は摂取できるということになります。アントシアニンは他にもイチゴやベリー類、ナスの皮、黒大豆や小豆にも入っているので、このあたりをうまく組み合わせて食べれば効果が期待できる量のアントシアニンを摂ることも不可能ではないでしょう。

 果物は炭水化物や果糖が多く含まれていますが、決して体に悪いことはありません。おいしく(ここがとても重要)て健康によいものを積極的にとって、スマートな生き方をしたいものですね。

参考文献

(1)2019 Clinical Nutrition「The effects of cranberry on cardiovascular metabolic risk factors: A systematic review and meta-analysis.」

(2)2019 J. Agric. Food Chem「Anthocyanins: from sources and bioavailability to cardiovascular health benefits and molecular mechanisms of action」 

(3)2018 Front. Pharmacol.「Anthocyanins in the Management of Metabolic Syndrome: A Pharmacological and Biopharmaceutical Review」

(4)2007 東北農業研究「ベリー類のアントシアニン含量の比較」