筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

それほど多くない量の生姜で中性脂肪が減るようだ。

要約

・生姜を摂ることで中性脂肪が平均して 17.59 mg/dl低下した。

・より効果的な量は2g以下であった。

大学時代の友人が中性脂肪が時々高くなって困っているようだ。というわけで、中性脂肪を下げる方法について取り上げようと思います。

 まず取り上げるのは、生姜です。生姜はだれでも知っている香辛料で、肉や魚の風味づけに最適な植物ですが、さまざまな薬理効果もあり、健康に役立つ生薬としての顔もあります(1)。

 生姜には中性脂肪を減らす薬理作用があることが知られており、

・脂肪の消化・吸収を行うリパーゼの働きを抑えて脂肪の吸収を抑える(2)

・脂肪を消費する褐色脂肪を活性化させる(3)

・腸内環境の改善に役立つ(4)

などのメカニズムで効果を発揮することが報告されています。それでは中性脂肪を減らすためにショウガを利用するにはどうすればよいのでしょうか?

 そのために論文を探したところ、これまでヒトを対象とした論文を総括してくれた論文を見つけることができました(5)。この文献によると、ショウガの摂取により中性脂肪が平均で17.59 mg/dl低下することが示されました。日本の中性脂肪の基準値が150mg/dL未満であることを考えると、この値はなかなか効果的と言えるのではないでしょうか?

 とればとるほど効果的というわけではなく、1日2g以下のショウガの摂取が中性脂肪の低下に役立つことが示されており、その場合は38.42 mg/dlとかなりの値の低下に役立つことが示されています。ショウガを1日2g摂ることは日本人の食生活を考えると、それほど難しいことではないと思います。この論文での「2g以下」の範囲は1日あたり0.5g~2gの間のことを指しているので、ショウガがそれほど得意でない人は1日0.5相当のショウガを摂ればとりあえずよいと考えられます。

 安くて美味しいショウガを利用して中性脂肪が下がるというのは実に素晴らしいことですよね。

参考文献

(1)2008 Food and Chemical Toxicology 「Some phytochemical, pharmacological and toxicological properties of ginger (Zingiber officinale Roscoe): a review of recent research.」

(2)2005 YAKUGSKU ZASSHI「ショウガの肥満作用について」

(3)2014 脂質栄養学「エネルギー代謝・体熱産生と食品機能 」

(4)2019 European Journal of Nutrition 「Beneficial effects of ginger on prevention of obesity through modulation of gut microbiota in mice」

(5)2018 Phytomedicine 「The effect of ginger supplementation on lipid profile: A systematic review and meta-analysis of clinical trials 」