筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

女性のボディメイクには軽めの重量の方が効果的かも(逆にいうと、軽い重量でもめちゃくちゃ頑張る人は脚が太くなるかもしれない)

要約

若い女性に対する研究では、軽めの重量で追い込んだほうが重めの通常の筋トレよりも筋肉の増加量が多かった。

 筋トレは一般的には8~12回(これは結構範囲がありますが)でギリギリになる重量で行うように言われます。これよりも高重量にして3~5回がギリギリとなる重量で行うことは筋力向上に役立ち、逆に軽ければ筋持久力の改善に役立つということを昔読んだ筋トレの本に書いていたことを覚えています。

 しかしながら、2016年に行われた筋トレ歴のある若い男性を対象とした論文では軽重量でも高重量でもギリギリまで追い込めば筋肉の付き方に変わりはないということが示されており(1)、かなり驚いたものです。

 さらに驚くべきことに、若い女性に関しては軽い重量で追い込んだ方が効果的でさえあるという報告がされています。2019年に発表された研究(2)によると、筋トレ歴のある女性(平均年齢24.3歳)に対して

・頻度 週2回

・トレーニングメニュー レッグエクステンション、レッグカール、レッグプレス

というトレーニング内容を、

・軽重量 1セット目が30~35回がギリギリできる重量で3セット限界まで

・高重量 1セット目が8~10回がギリギリできる重量で3セット

という重量設定で9週間行ってもらい、筋肉量や筋力に与える影響を検討しました。その結果は興味深いものであり、

・筋肉量の増加量は軽重量のトレーニングを行った人の方が大きかった

・筋力の増加量は両群同じだった

という結論に至っています。なんとボディメイクにおいては軽めでしっかりと追い込んだ方が、筋トレ歴のある女性にはより効果的であるという結果がでたのです。軽重量の方が運動量が多かったのが要因の一つではないかと考えられています。

 これは様々な応用が効きます。筋トレ歴のある女性クライアントを顧客とした場合は、筋肉をしっかりとつけたいところは軽い重量でギリギリまでやっていただき、あまりつけたくないところは逆に重めにして代わりにするというトレーニングもアリということになります。

 また、階級制のスポーツをされているクライアントならば、軽重量で追い込むトレーニングは筋力の向上量は同じなのに余計に筋肉がついてしまうということで不利になるため避けた方がよいとも考えられるのです。

 筆者は女性から

「筋トレは興味あるのだけど、脚は太くしたくないのです!」

という質問をされたときには

「軽い重量でもパンパンになるまでやったら太くなる可能性があるから、回数は少なめに」

と経験をもとに回答していましたが、これにてこの回答が科学的にも正しそうであることがわかりました。

というわけで、脚を太くしたくない女性には、レッグプレスやレッグエクステンションをギリギリまでさせることようなことは避けるようにしていただいた方がよいでしょう。

参考文献

(1)2016 J Appl Physiol (1985)「Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men.」

(2)2019 J Strength Cond Res.「Lower-Load is More Effective Than Higher-Load Resistance Training in Increasing Muscle Mass in Young Women.」