脳卒中後のリハビリには有酸素単体よりも有酸素+筋トレ!
要約
脳卒中後の運動として、有酸素運動単体よりも有酸素+筋トレの方が以下の利点がある
・上半身と下半身の筋力や筋肉量の向上
・有酸素運動を40%減らしても、心肺能力は同じように伸びる。
パーソナルトレーナーとして、
や
で活動させていただいているのですが、クライアントの中に、
「脳卒中になって体力や筋力が落ちてしまったけど、何とか筋力を取り戻して好きだった海外旅行に行きたい」
という方がいらっしゃいました。最初は某有名フィットネスクラブに行こうとしたのですが、トレーニングメニューについていけそうにないということで(某有名フィットネスクラブのトレーナー、しっかりしろよ・・・)、近くにあり、自分のペースでできそうなエニタイムフィットネスにしたということです。
その際に私が作ったメニューが
・10~20分のエアロバイク
・レッグプレス
・シーテッドロウ
・マシンフライ
・シーテッドレッグカール
・サイドレイズ
・トーレイズ
という感じで60分程度でできる作成しました。(これは初心者が初めてやる用)
「脳まで筋肉でできている」
「筋肉に関しては人間の領域から半分くらい逸脱している」
と言われるほど筋トレが好きな私ですが、あえて有酸素運動を採用しています。
これは、有酸素運動が脳卒中になった人の機能改善に役立つというデータが多数あるからです。しかし、筋トレも入れているのはもちろん理由があり、
・筋トレをすることで筋力の向上が狙えること
・脳卒中などになったことがある人も、筋トレを習慣的にしている場合は様々な疾患のリスクが低い
という論文があるからなのです。
今回新しく見つけた論文には、有酸素運動単体で行うよりも、有酸素運動の量を減らしてその分筋トレをしたほうが好ましいというデータを見つけたので紹介しようと思いまうす。
この論文では、運動機能障害のある脳卒中既往歴のある人を対象として、
・週5回の有酸素運動を行う群
・週3回の有酸素運動と週2回の筋トレを行う群
にランダムで振り分けをして、6か月間行ってもらいました。その結果、予想通り両群とも身体機能の改善において良い結果が得られたのですが、
・最大酸素摂取量(心肺機能の指標)の改善は両群とも同じだった
・有酸素運動と筋トレを併用した群のほうが筋力や除脂肪体重(すなわち筋肉量)に
著しい増加がみられた。
という結果が得られたということです。
「心肺機能を高めるには有酸素運動!」
という感じがしますが、一部を筋トレに置き換えても問題なく向上するということです。有酸素運動に苦手意識がある人は結構多いですが、その人たちにとっては良い報告ではないでしょうか?
脳卒中になってしまい、しびれなどが出てしまった場合も、あきらめず筋トレを含めた運動にチャレンジしていただきたいと思います。
参考文献
Neurorehabil Neural Repair. 2018
「Aerobic With Resistance Training or Aerobic Training Alone Poststroke: A Secondary Analysis From a Randomized Clinical Trial.」