魚の油は肝機能に良いかもしれない
要約
・魚の油のサプリメントを摂ることでAST、ALT、γ-GTP、肝臓の脂肪量の低下がみられた。
「肝臓に役立つサプリ」というのは沢山ありますが、結構値段が高いことが多いのが難点です。また、エビデンスが怪しいものもしばしばあります。そこで今回はよく見かけるサプリメントが肝臓に役立つ可能性があることを紹介しましょう。
魚の油のサプリメントは血液中の中性脂肪を減らすことで有名ですが、どうやら肝臓の脂肪対策にも役立ってくれる可能性があることがランダム化試験のメタ解析(かなり質の高い解析ということ)でわかっています(1)。
この試験の結果、魚の油のサプリメントを摂ることで
・肝臓中の脂肪が減った
・AST、ALT、γ-GTPが減った
ことが示されています。魚の油は肝臓にある脂肪代謝に関わる因子であるPPAR-αを活性化することが知られている(2)ので、肝臓に役立つというデータは薬学を知っている者なら納得のいく話です。
ただし、肝臓への脂肪の量に関してはほぼ一貫して効果が認められているものの、AST、ALT、γ-GTPに関しては効果がなかった試験もあるので、健康診断の値が変わらない可能性もあることは知っておいた方がよいでしょう。
魚の油は脂ののった魚を摂るだけでOKですし、サプリメントとしても安く販売されています。1日あたりの摂取量は0.25g~5gとかなりの幅がありますが、中央値が2.7gなのでそれを参考にするとよいと思います。結構多いように思えますが、サバやイワシをとれば結構簡単に摂れたりします(病気のある人や医薬品を使用中の方は念のため相談してから摂るようにしましょう)。
というわけで、肝臓が気になる人が居酒屋に行くことになった場合は、脂ののった魚のメニューを一つは選択するとよいでしょう。
参考文献
(1)2018 Medicine (Baltimore).「Omega-3 polyunsaturated fatty acid supplementation and non-alcoholic fatty liver disease: A meta-analysis of randomized controlled trials.」
(2)2009 Biochim BIophy Acta「Enhancement in liver SREBP-1c/PPAR-alpha ratio and steatosis in obese patients: correlations with insulin resistance and n-3 long-chain polyunsaturated fatty acid depletion.」