筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

脂肪肝対策には白米よりも玄米がよいかもしれない

要約

・未精製炭水化物を摂った場合は肝臓への脂肪の蓄積が小さかった。

(精製炭水化物を摂った時と比較して)

最近、弊社の部長(といっても年も近いのでアニキみたいな感じなのだが。)の健康診断が返ってきて、肝臓の値が不味いことになっていました。というわけでしばらく肝臓について調べてみようと思います。

 まずは、メインとなる炭水化物について、信頼性の高い論文を見つけることができたので紹介しましょう(1)。この論文では98gの未精製炭水化物(玄米とか全粒粉パンとかのこと)と精製炭水化物(白米とか食パンのこと)のどちらかを摂取した場合に肝臓の脂肪に与える影響について調べています。

 その結果、精製炭水化物をとった場合と比較して、未精製炭水化物を摂った場合は肝臓への脂肪の蓄積が少なかったことが示されていました。

 肝臓に脂肪が過剰に貯まってしまうと酸化ストレスが高まり、組織にダメージを与えて肝硬変や肝臓がんなどのリスクを高めてしまう恐れがあることが知られています(2)ので、未精製炭水化物を摂取することで肝臓病のリスクを抑えることだ期待できます。

 このメカニズムはなかなか興味深く、未精製炭水化物をとったグループと精製炭水化物を摂ったグループを比較すると

・絶食時の中性脂肪コレステロール、遊離脂肪酸に差はなかった。

・未精製炭水化物を摂った人の方が腸内細菌の多様性が豊富であった。

・未精製炭水化物をを摂った人は、食後の中性脂肪濃度の増加量が大きかった。

という現象が見られました。このことから未精製炭水化物をとったことによる肝臓への中性脂肪蓄積が抑えられたメカニズムは

・腸内細菌の多様性が増えた結果、肝臓になんらかの影響を及ぼした

・その影響の結果、食事からの脂肪は肝臓を素通りして血液中に入った

ということが考えられます。最近は腸内環境がよく注目されていますが、肝臓にも大いに影響するようですね。

食後の中性脂肪が上がったということは多少気になるかもしれませんが、絶食時の中性脂肪については特に差がなかったのでそれほど心配する必要はないでしょう。どうしても気になるならば運動をしたり、魚の油やキトサンなどの安いサプリを摂ることで中性脂肪などあっさり下がります。

pharmuscle.hatenablog.com

 というわけで、肝臓の数値が指摘された場合は白米や食パンを玄米や全粒粉パンにするのがよいと考えられます。玄米や全粒粉パンが合わない人もいると思いますので、そのような場合は主食をサツマイモにしたり、食物繊維や乳酸菌を意識してとることで、おなかの調子を整えるのが良いのではないでしょうか。

(つづく。部長の数値が改善するまで)

参考文献

(1)2018 Am J Clin Nutr.「A 12-wk whole-grain wheat intervention protects against hepatic fat: the Graandioos study, a randomized trial in overweight subjects.」

(2)2015 肝臓「肝と酸化ストレス」