筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

高齢者もダンベルトレーニングに挑戦しよう!

要約

高齢者を対象とした試験では、フリーウェイトのトレーニングはマシントレーニングと比較して一部の筋力の向上・やる気の改善に関連していた。

この前、大学時代の友人夫妻に筋トレを教えていたところ、

「前に(私が)教えてくれた会社の上司、もともとシャープな体だったのに益々筋肉がついて体脂肪率が10%切ったのだって。」

という報告をしてくれました。この上司さんは筋トレはやっていたものの、すべてマシントレーニングであるという難点がありました。この筋肉の改善は新しい刺激が入ったというものも大きいのですが、マシントレーニングでは鍛えられない筋肉を鍛えることができたのも大きな要素です。

 バリバリのスポーツマンである上司さんにも大きな効果を示したフリーウェイトのトレーニングですが、実は高齢者にとっても、フリーウェイトのトレーニングはマシントレーニングよりも役立つかもしれません。

 2019年に発表された論文(1)では、60~86歳の高齢者を対象に

・フリーウェイトトレーニング群 スクワット、ベンチプレス、ベンドオーバーロウ、ライイングトライセップス、バイセプスカール

・マシントレーニング群 レッグプレス、チェストプレス、シーテッドロウ、ケーブルトライセプスエクステンション、ケーブルバイセプスカール

を6か月間行ってもらい、その違いを比較しました。その結果、

・フリーウェイトを行った人のほうが脚力や上腕三頭筋の筋力の向上が大きかった。

・フリーウェイトを行った人のほうが満足度や楽しさが大きかった。

という違いが生まれました。フリーウェイトを行ったほうが一部の筋力の改善が大きいうえに、楽しくトレーニングができたということになります。某大銀行の元重役が

「高齢者向けのトレーニング会に行っていたが、マシンばかりで毎回同じトレーニング。効果も感じないからやめてしまったぜ。」

と嘆いていたのを思い出しましたが、これはフリーウェイトとマシントレーニングの違いという要素も一部ありそうです(正直、その施設のトレーナーのやる気や技能にも問題がありそうでしたが)。

 私もマシンを行うこともありますが、なんだかんだでフリーウェイトのほうが割買いが多いのはやはり面白いからです。そして、フリーウェイトの効果は私のようなボディビルダーだけではなく、高齢者にも有用であることが科学的にも示されつつあります。トレーニングをやめてしまった元重役にも、フリーウェイトのトレーニングを勧めてみようと思います。

参考文献

(1)2019 Exp Gerontol.「Effects of free weights and machine training on muscular strength in high-functioning older adults.」