ミノキシジルは濃すぎると逆効果!
要約
リアップなどで有名なミノキシジルだが、10%では効果がないうえに副作用発生率が高い。
物事を科学的に見ることは大切です。なぜならば「理屈上正しく思えること」が実際の場面では役に立たなかったり、そればかりか逆効果であることも少なくないからです。その例として発毛薬として有名なミノキシジルを上げましょう。
ミノキシジルはリアップで有名な発毛薬です。宣伝のためリアップX5プラスローションやロート製薬のリグロEX5、アンファーのメディカルミノキが有名だと思われますが、実際には無印のリアップEX、小売店で販売されているPB品、東和薬品のミノアップ(どうやら楽天のみで販売されている模様)の方がミノキシジル5%での比較なら安いようです。
日本での販売されている製品ではミノキシジル1%とミノキシジル5%のものがあります。 大正製薬のHPを見ると、1%のものよりも5%のものの方が効果が高いようです(1)。また、海外の文献ではミノキシジル5%はミノキシジル2%よりも効果が高いというデータがあり、とにかく髪の毛に対して効果が欲しいという人は5%を選択した方が良いということになります(2)。
しかしネットを見ていると、海外ではミノキシジル12%の製品もあるようです。詳しくは触れませんが、「5%に比べると明らかに効果がある!」というようなことを述べているケースもあります。濃ければ濃いほど効果的ということは受けいられやすい考えです。しかし、本当に濃ければ濃いほど効果的なのでしょうか?
どうやらエビデンスに基づくと、わざわざ10%以上のミノキシジルを使う理由はなさそうです。2019年に発表された文献では男性型脱毛症の人を対象としてプラセボ、ミノキシジル5%、ミノキシジル10%の外用薬の効果を比較しています(3)。その文献の結果は興味深いもので
プラセボ 頭頂部、前頭部ともに特に変わらなかった
ミノキシジル5% 頭頂部、前頭部ともに髪の本数が増えた
ミノキシジル10% 前頭部の髪の本数は増えたが、頭頂部の本数は変わらなかった。前頭部の髪の本数に関しては、ミノキシジル5%と差はなかった。
という結果になっています。驚くべきことに、試験の中では中間濃度であるミノキシジル5%が一番効果的ということになったのです。ミノキシジル10%は効果が5%に劣っているだけではなく、刺激感などの副作用発生率が高く、治療を継続できなかったという欠点があることまでわかっています。すなわち、ミノキシジルに関しては10%という濃度は濃すぎるためにふさわしくない設定であるといえそうです。
食事法も運動もそうですが、やればやるほど効果があるわけではなく、実際には適量があることが科学的には明らかとなっています。メディアの情報をうのみにするのではなく、試験を行ってくれている先人の試験をPub Medなどで調べることが重要となってくるでしょう(とは言いつつ、発表された論文も様々な要因で覆ることもあるので注意が必要なんですけどね)。
参考文献
(2)2002 J Am Acad Dermatol「A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men.」
(3)2019 J Dermatolog Treat.「Efficacy and safety of a new 10% topical minoxidil versus 5% topical minoxidil and placebo in the treatment of male androgenetic alopecia: a trichoscopic evaluation.」