「炭」って効くの？科学的に解説。
要約
・炭にダイエット効果があるという論文は発見できなかった。
・炭はコレステロールを下げる可能性があるが、1日２４ｇも摂る必要がある。
最近、炭入りのサプリメントがよく発売されています。ダイエット中心に販売されており、スムージーやカプセルなどに用いられています。色々な意味で世間を賑わせているRIZAPからは炭入りのプロテインまで発売されています（正直、取り入れる予定は全くないが）。
炭が油を吸着し、そのため脂肪が体外に吸着されるということで痩せるという理屈のようです（吸収したいプロテインと、排泄を促進する炭を一緒に入れる発想がよくわかりませんが）。これは科学的に正しいのでしょうか？
かの高名な医学誌「Lancet」に効果があると立証された！というような広告も見ましたが、エビデンスがあるものなのでしょうか？そこで科学的正しいかどうか確かめてみました。
まずは「charcoal」「activated carbon」「炭」「活性炭」などのワードでダイエットに役立つかどうかを調べた論文を国内外の論文検索サイトで探してみましたが、私の力では見つけることができませんでした。炭がダイエットに役立つかどうかについては、科学的に言うとエビデンスがないということになります。
そこで、Lancetでは効果的であると示されたという宣伝が気になって調べてみました。その結果、1986年に確かに炭を摂ると総コレステロールが25％、LDL（いわゆる悪玉）コレステロールが41％下がるというデータが出ています(1)。このデータだけ見ると、コレステロールにはかなりの効果があるように思えます。
しかし、よく見ると１回８ｇもの炭を1日3回も摂取しています。すなわち、1日２４ｇもの炭を食べているということです。先に出たライザップのプロテインに含まれる炭の量は多く見積もっても1回分に２ｇであり、他の炭サプリもそこまで多くの量を摂るにはとてつもない費用がかかるため、実効性は小さいでしょう。
炭の作用として胆汁酸の吸着が関わっているのではないかという論文があります(2)。それならば同様のメカニズムがあり、値段も手ごろで、ダイエットにも役立つというエビデンスがあるキトサンを選択したほうが良いと思われます。
というわけで、 ダイエット目的で炭にはあまり期待しないほうがよいと言えるでしょう。
参考文献
(1)1986 Lancet「Effect of activated charcoal on hypercholesterolaemia.」
(2)1989 Eur J Clin Invest「The mechanism of the hypocholesterolaemic effect of activated charcoal.」
