筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

虚弱ではない高齢者にプロテインは効果なし?

十分なたんぱく質が筋肉の発達に重要であることはもはや常識と言ってもよいだろう。筋力が衰えてしまった状態の人にもホエイプロテインが役立つことは何度か紹介した。

 

pharmuscle.hatenablog.com

 

 

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というわけでこれまで、プロテインのよい点を中心に紹介していた。しかし、今回はちょっと風向きが異なる論文を紹介しよう。2018年の11月に栄養学の専門誌で行われたsysytematic review and meta analysisによるでは、特に筋力が弱っていない地域在住の高齢者を対象として、プロテインが筋肉に与える影響を解析している。

「この手の論文か、まあプロテイン摂ったほうがよいだろ」

と思って読んでみると、結果は驚愕のもので

・筋肉量 統計学上差なし

・上半身の筋力 統計学上差なし

・歩くスピード 統計学上差なし

という結果になってしまっている。一部の論文ではプロテインを摂ったほうが筋トレによる筋力向上に役立っているのでかならずしも無駄とは言えないが、(特にサプリメントメーカーにとって)衝撃的な結果となっている。

 この論文を書いた研究チームは

・この実験に参加した高齢者はたんぱく質の摂取量がかなり多く、追加してとっても効果が出なかったのではないか?

・高齢者の筋肥大には一度に多くのたんぱく質を摂る必要があり、今回とったプロテインの量では足りなかったのではないか?

という考察をしており、タンパク質の摂取量が少ない人にはプロテインは役立つし、後者であればプロテインメーカーは大喜びだ。

この論文から言えることは2つ。

プロテインを利用しなくても、うまい肉や魚を楽しんで食べれば筋肉には十分かもしれない。

・ちょっとしかタンパク質が入っていないプロテインアミノ〇イタルプロテインとか)は筋力が弱っていない高齢者にとってはほとんど意味がないかもしれない。

この論文に基づくと、タンパク質の多い食事を楽しむのが最良で、味やコストパフォーマンス、利便性のよいプロテインを選択するのが次善とも言えるだろう。

最近飲んでるプロテイン(味や利便性重視でライトトレーニー化が進みつつあるのがちとさみしい)。

 

 いずれにせよ、プロテインの有無よりも筋トレの有無のほうが重要であり、必要な筋トレ量もそれほど多くはないので、まずは筋トレを試していただきたい(結局脳筋みたいな締めになってしまった)。

参考文献

2018 Am J Clin Nutr「Effects of protein supplementation on lean body mass, muscle strength, and physical performance in nonfrail community-dwelling older adults: a systematic review and meta-analysis」