筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

心血管病の予防に最適な量の筋トレとは?

 私が師と仰ぐ人が現役だった時代は、筋トレは心臓に悪いとかガンになるとか無茶苦茶なことを言われてきた。しかし、それは明らかに誤りであるということは科学的にも明らかである。一方で、いかに筋トレが体に良いとは言え、もちろんやりすぎというものも存在する。そのような事実を教えてくれる論文を見つけたので(本当はもっと早く紹介したかった)、紹介しようと思う。

 2018年にスポーツ医学の専門誌で紹介された論文では論文では、筋トレの頻度や週当たりの時間と死亡率の関係を調査している。この調査によると、

週当たりの筋トレの頻度と発生率については、まったく筋トレをしない場合の心血管病のリスクを1とすると

週1回 0.26

週2回 0.41

週3回 0.52

週4回以上 1.17(ここは有意差はなし)

という結果となっている。さらに、週当たりの筋トレの時間と発生率については、まったく筋トレをしない場合の心血管病のリスクを1とすると

1~59分 0.33

60~119分 0.57

120分以上 0.81(ここは有意差なし)

というデータにとなっている。心血管病の死亡率や全体での死亡率もほぼ同様の傾向を示している。このデータだけ見ると、健康目的で筋トレをするならば最大でも週3回までとし、1回当たりの時間も60分未満に抑えなければならないということになってしまうのだ。ただし、量が最大のグループも全くしてないグループと比較して、統計学上は差がないという判定なので、たくさん筋トレをしている人が危機的状況にあるかと言われれば、そうでもないということも知っておくとよいだろう(少し安心している)。

 この結果は週何度もジムにいく筆者のような人にとっては少し耳の痛い話であるが、多くの人にとっては朗報だ。論文では心血管病の予防には週1回、1回60分未満が良いものの、筋力をつけたり、関節痛の改善が目的なら週2、3回程度は行ったほうが良いと思われるので、そこは状態に応じて臨機応変にするとよいと思います。

 目的に応じて、スマートに筋トレをやりましょう!(スマートでない私はこれからも頻繁にジムに行くのだろうが。)

参考文献

Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29. 
「Associations of Resistance Exercise with Cardiovascular Disease Morbidity and Mortality.」