がん患者さんの疲労感の改善には有酸素運動が最適のようだ(筋トレも効果はあるよ)
要約
がんが運動をすると疲労感が改善する。それには有酸素運動が最良である。
がん患者さんにとってつらい症状の一つが疲労感です。疲労感はがん患者さんの50~90%の割合で発生するとされ、抗がん剤や放射線治療を受けている途中の人は特にその割合が高いとされています。がんによる疲労感は生活の質を著しく落とす原因となっています。
実は、がんによる疲労感に対して運動が効果的であるという論文は多数あります。Neuropsychiatric Disease and Treatment よりsystematic review and meta-analysis.と呼ばれる質の高い解析が報告されたので紹介します。
その解析の結果、
・がんの種類に関わらず、運動は疲労の改善に効果的であった。
・有酸素運動のみ行うことが最も効果的であった。
・有酸素運動と筋トレの組み合わせは効果はあったが、有酸素運動ほどではなかった。
ことが示されました。
という訳で、このブログのタイトルとは反しますが、がんで疲労感がある人はウォーキングや自転車などの有酸素運動を行うとよいでしょう。
そういえば、筋トレ仲間の親父さんががんになり、発病後3ヶ月で亡くなってしまったのですが、
「あれは好きだったマラソンを取り上げられて、抗がん剤治療なんかしてしまったからだ。その両方が原因になって早死にしてしまったのだ。」
と言ったのを思い出します。終わってしまったので仕方がありませんが、このデータから考えるに筋トレ仲間の親父さんはマラソンは続けられるような治療方針をした方が良かったのかもしれません。
筋トレは疲労感の改善という面では劣るようですが、
・筋トレをしているがん既往歴のある人は死亡率が低い
pharmuscle.hatenablog.com ・筋トレと有酸素を行うことで乳がんの薬による関節痛が改善する
など、有酸素運動には見られない利点もあるので疲労感が減ってきたら筋トレにも挑戦してほしいものです。運動を行う前には医師の許可が必要ですが、たいていは許可がでるでしょう。怪しいサプリメントの前にまず運動に挑戦してほしいと思います。
参考文献
2017 journal of cancer research and therapeutics 「Cancer-related fatigue treatment: An overview」
2018 Neuropsychiatric Disease and Treatment 「The effect of exercise on cancer-related fatigue in cancer survivors: a systematic review and meta-analysis.」