筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

首の痛みにはストレッチよりも筋トレ!

要約

・首の痛みやそれに伴う頭痛に筋トレが効果的である。

・ストレッチや呼吸トレーニングにはあまり効果がないかもしれない

・首の痛みの改善には首、肩甲骨、肩のトレーニングを行うとよい

 肩こりや首の痛みは多くの人が悩んでいます。女性はに特に多いですが、私と同年代の男性も困っていることがあり、相当多くの人が悩んでいることがわかります。

そのような人たちに筋トレを教えた時に、特に喜ばれるのが

「そういえば、最近肩こりがなく、整体にもいかなくなったわ」

というように、肩周りの不調が改善したということです(なぜかみんな「そういえば」と言う)。そういえば私も10代の頃はよく寝違えて首を痛めてましたが、筋トレを始めてからは全くありません。これはたまたまなのでしょうか?

いいえ、もちろん科学的にも効果があると示されているのです!

2015年にCochrane Database Syst Rev. より発表された論文では、運動が首の痛み(肩こりも含むと思われる)に与える効果について詳細なデータ集めをしています。その結果、効果があったものをまとめると、

・頚部、肩甲骨、上肢の筋トレ

頚部、肩甲骨の持久的な運動

・頚部、肩甲骨、肩の筋トレとストレッチ

頚部、肩甲骨の筋トレとスタビライザーの強化運動

太極拳などのマインドフルネス

が挙げられました。このなかで、「頚部、肩甲骨の持久的な運動」「太極拳などのマインドフルネス」は効果が弱めであったというデータになっています。肩こり目的であり、ば筋トレを必ず入れるべきということになります。筋トレの中で効果の程度を単純にくらべると

①頚部、肩甲骨の筋トレとスタビライザーの強化運動

②頚部、肩甲骨、上肢の筋トレ

③頚部、肩甲骨、肩の筋トレとストレッチ

の順で効果があったということなので、筋トレとインナーマッスルの強化を両立できる種目がよいと考えられます。また、筋トレの結果、首の痛みからくる頭痛(筋緊張型頭痛のことだと考えられる)もかなりの改善が示されたということです。

その一方で

・呼吸運動

・一般的な運動

・ストレッチ単体

などの肩や首周りの筋肉を直接使わないような運動には効果を示さなかったという結論になっています。ストレッチ自体は体によいことなので継続しても良いとは思いますが、首の痛みに対してはあまり期待しない方が良いということになります。

 

首、肩甲骨、肩の筋トレとしてこのようなメニューを組んでみました。運動について特に制限がない人は試してみましょう(そのうち、筋トレの動画や画像集を作ろうと思いますので少々お待ちを)。

メニュー①

ダンベルショルダープレス 1set 10~12回 2~3set

ケーブルフェイスロウ 1set 12~15回 2~3set

ルック ライト&レフト(左右を見ることで首の横側の筋肉を鍛えるエクササイズ) 10~20往復 2set

メニュー②

スタンディングロウ 1set 12~15回 2~3set

クロスベンチプルオーバー 1 set 12~15 2~3set

ネックフレクション(首を横に倒して戻す。首の横側の筋肉を鍛えるエクササイズ)

1set 12~15回 2set

このメニューを週2~3回、間に1~2日程度休みをとって行いましょう。メニュー①とメニュー②を交互にやってもよいですし、今月はメニュー①、来月はメニュー②というように期分けをしてもよいと思います。ぜひお試しを!

参考文献

2015 The Cochrane Database of Systematic Reviews

「Exercises for mechanical neck disorders.」