筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

メタボ予防のための筋トレの量はとても少ない。

要約

・筋トレはメタボリックシンドロームの予防に役立つ。

・最も効果的なのは週1、2回かつ週59分未満の場合であった。

筋トレが体に良いことはすでに科学的にもわかっており、生活習慣病や関節痛、メンタルヘルスの疾患の予防や改善に役立つことまでわかっています。今回は生活習慣病の代表であるメタボリックシンドロームと筋トレとの関係を紹介しましょう。

 メタボリックシンドロームを簡単に言うと、内臓脂肪の肥満があり、かつインスリン抵抗性、高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上が引っかかっている状態(1)です。メタボリックシンドロームになってしまうと心血管病のリスクが高いことが分かっており、健康診断でも口酸っぱく指摘される内容です。

 予防や根本的な治療には食事法の改善であったり、運動がとても重要になってくるのですが、もちろん筋トレも有効です。それでは、どの程度行うのがよいのでしょうか?

 アメリカで行われた研究によると(2)、アメリカのガイドラインが勧めるように週2回以上の筋トレを行う人は、筋トレを行っていない人と比較して17%メタボリックシンドロームにかかる可能性が低いというデータがでています。これは年齢、体重、飲酒などの生活習慣、有酸素運動量での補正がされているので、信頼性が高いデータと言えます。

 しかしながら、筋トレの時間が少ない場合にも予防に役立つというデータが示されており、週1~59分の筋トレを行っている場合にメタボリックシンドロームのリスクが29%低いという意外なデータもわかっています。一方で、週に何回筋トレをやっているか?については週4回の場合にもっとも効果的で、リスクが38%も低いという結果がでており、メタボリックシンドロームに関しては筋トレの量は少ないほどよいのか、多い方がはよくわからないというデータとなっています。

 しかしながら、筋トレは少量でもかなり効果があるというデータは、日頃忙しく働いている人にとっては良いデータではないでしょうか?自体重やケーブル、マシンを用いて、セット間の休憩を少なめにすれば、時間が少なくても全身を鍛えることも十分に可能です。休みの日に1回にジムや公園で筋トレをすることはとても効率のよい健康投資となるでしょう。 

参考文献 

(1)2016 日本内科学会雑誌「メタボリックシンドロームの診断と管理 」

(2)2017 Mayo Clin Proc「Association of Resistance Exercise, Independent of and Combined With Aerobic Exercise, With the Incidence of Metabolic Syndrome」