紅茶と一緒にたんぱく質を摂ると、吸収率が減るかもしれない
要約
紅茶ポリフェノールは卵のタンパク質の吸収率を17%減らした。
お茶に含まれるポリフェノールは糖や脂質の吸収を抑える作用があることが知られています(1)。これは太り過ぎで健康を壊す人が増えている現代社会にとってはよい作用に思えますが、本来はエネルギー吸収を抑えて捕食者にダメージを与えるいわば「毒」としての側面もあります。となると、他の成分の吸収も抑えるのでは?と考えるのは自然な流れです。
今回、お茶のポリフェノールがタンパク質の吸収に与える影響を調べた文献(2)を見つけることができたので、紹介しましょう。この文献では、紅茶のポリフェノールがタンパク質の吸収に与える影響を調べています。この研究の結果、
・紅茶のポリフェノールは卵のタンパク質の吸収を17%抑えた
・この作用は、スピルリナ(藻の一種)のタンパク質の吸収への影響見られなかった。
ことが示されました。一般的にタンパク質はほとんどが吸収されると考えられているだけに、この結果はなかなか驚くべきことです。一方でスピルリナには影響がなかったということから、粉末状のタンパク質の吸収には影響がない可能性もあります(なぜもっと一般的なタンパク質であるホエイプロテインとかソイプロテインで実験をしなかったのか、研究者を問い詰めてやりたい)。
というわけで、お茶類を沢山飲んでいる人はタンパク質の摂取量が不十分でないか、今一度確認したほうがよいかもしれません。逆に肉ばっかり食べているような人には、健康に貢献してくれる可能性もあるでしょう。太古から付き合ってきたお茶が我々に与える影響がまた一つ明らかになり、勉強になりました。
参考文献
(1)2014 European Journal of Clinical Nutrition 「The anti-obesity effects of green tea in human intervention and basic molecular studies」
(2)2019 The Journal of Nutrition「Co-ingestion of Black Tea Reduces the Indispensable Amino Acid Digestibility of Hens’ Egg in Indian Adults」