卵やコレステロールの摂取量は脳卒中のリスクに影響しないようだ
要約
・卵やコレステロールの摂取量は脳卒中のリスクに影響しなかった。
・遺伝的に脳卒中のリスクが高いとされる人にも、卵の摂取量と脳卒中のリスクに関連は見られなかった。
卵は栄養価に優れているうえに美味しく、しかも手ごろな値段であるところから必要不可欠な食品です。しかしながらコレステロールの多さから一時期は1日1個までに制限するように言われていました。ところが、全体としては食事に含まれるコレステロールの量と疾病の関係にあまり関係がないことが示されており(1)、以前のように制限されるようなことはなくなりました。
しかしながら、個々の体質によってはコレステロール摂取量が疾病につながる恐れもあるため、より詳細な研究が求められています。今回は卵の摂取と脳卒中のリスクについて紹介しましょう。この論文では、男性を対象に卵やコレステロールの摂取量と脳卒中のリスクとの関係を調べています。その際、脳卒中のリスクと関連することが指摘されているapoEについての関連を調べています。その結果は実に興味深く、
・コレステロールの摂取量と脳卒中のリスクの間に関連は見られなかった
・apoEのタイプの違いを考慮しても、コレステロールの摂取量は脳卒中リスクに影響しなかった
ことが示されています。どうやら脳卒中に関しては、遺伝の体質によらず卵やコレステロールの摂取量についてあまり神経質にならなくてもよいことが示されました(もちろん、筆者の知る月卵1000個消費するような場合は別でしょうが)。最近は遺伝子検査が流行っているようですが、apoEの調査の結果脳卒中が高いほうだと判定されても、特に神経質になる必要はないということですね。正しい知識を持ち、非科学的で不要な我慢はやめて、食生活を楽しみましょう。
参考文献
(1)2015 American Journal of Clinical Nutriton「Dietary cholesterol and cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis.」
(2)2019 American Journal of Clinical Nutriton「Egg consumption, cholesterol intake, and risk of incident stroke in men: the Kuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study 」