筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

抗酸化物質で紫外線のダメージは抑えられるが、黒くなりやすくなるかも。ボディビルダーにはありがたいが。

 突然ですが、来年ボディビルの大会にカムバックしようと思います。筋トレをやるのは好きだし、ダイエットもそれほど苦しくは思わないのですが、困ったことが一つあります。それは、日焼けです。

 日焼けが皮膚の負担となり、シワやたるみ、皮膚がんの原因になることは参考文献を出すまでもありません。さらに紫外線にあたりすぎることは免疫力が低下することも結構知られた話です(1)。そういえば、筆者は子供のころ一日中外で(嫌々)活動した次の日、たいてい発熱するという経験があったのですが、どうやら理にかなっていたようです。

 体の負担になるのに、また日焼けをすることになるのか・・・と困っていたところ、ある日、会社の人から

「飲む日焼け止めって科学的にみてどうなの?ウチで扱うかもしれないから調べてね。」

という話がでてきました。そこで論文を調べまくっていたところ、面白い論文を見つけることができました。

 2003年に発表されたヒトを対象とした研究(2)によると、リコピン、βカロテン、αトコフェロール(ビタミンEのこと)、セレンという抗酸化物質として作用する成分をとることによって、紫外線による酸化や炎症といったダメージは抑えた一方で、pigmentationすなわち色が黒くなることは促進されたという結果となりました。

 これは生理学や化粧品について多少なりと知っている者からするとかなり驚くべきことです。なぜなら、紫外線によって発生する活性酸素や炎症によってメラニン色素の産生が活性化されて、皮膚が黒くなると教わってきたからです(だから、抗酸化作用のあるビタミンCは美白に役立つと説明される)。

 この論文の結果は、美白を目的とした人には困ったものですが、とっとと日焼けをしたいボディビルダーにとってはかなりの朗報です。なぜなら、紫外線によるダメージは抑えられるうえに、素早く黒くなれるというナイスなおまけがついてくるということだからです。この論文については全文を見ることができず、抗酸化物質の配合量を見つけることができませんでしたが、リコピン、βカロテン、αトコフェロール、セレンのサプリメントも安価に手に入れることができます。手ごろなマルチビタミン&ミネラルサプリをとってしまえば、リコピン以外はすべてカバーできるのですから。

 リコピンはサプリなど使わなくともトマトジュース1杯で十分です。トマトジュースなんて超苦手、という人でもなければ一番安くて簡単な摂取方法でしょう。

(個人的には、伊藤園の理想のトマトはおいしいのでお勧め。)

 できれば日焼けをせずとも、カラー(皮膚に塗って黒くするアレ)を使わせてほしいものではあります。しかし、それができない場合は紫外線対策と黒くなることを促進させるために、抗酸化物質を意識して摂ることを検討してもよいと思います。「飲む日焼け止め」と「飲む美白サプリ」はかならずしも一致しないという、なかなか面白い勉強をさせていただきました(会社の資料も作っていますよ、念のため)。

参考文献

(1)2007 アレルギー「紫外線による皮膚障害とアレルギー疾患」

(2)2003 Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine「Immediate effects of UV radiation on the skin: modification by an antioxidant complex containing carotenoids」