筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

深夜シフトの人のための快眠法 BMJの最新記事より

要約 下の図の通り。英語がわからない人は大きい字と赤文字を読もう!

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出典 2018 BMJ「Optimising sleep for night shifts」より www.bmj.com/content/360/bmj.j5637

働き方改革」が叫ばれて、「生産性を高めて労働時間を短く」「プレミアムフライデーで昼からのもう!」などと言われていますが、こんな絵に描いた餅なんて出来るわけがないのは誰もが認めるところです。
 

 例えば、キツイ仕事の代表例に深夜シフトがありますが。深夜勤務やシフトワークは肥満や心血管病やある種のガンなどと関係あるという報告もあり、できれば避けた方がよいのですが、それは難しいのが現状です。
 

 例えば救命救急を行う病院、深夜に移動し続ける高速バスや運送業の人、ノンストップで稼働しなければならない工場、居酒屋やコンビニといった深夜も営業しなければならない店・・・これらが無くなることは当面の間ないでしょう。私も夜通しシフトを行ったことがありましたが、体への負担は大きく、終わったあとも2日程度は調子が悪く、筋トレの重量も落ちてしまいました。
 このような状態に対して具体的で的確なアドバイスができる人はほとんどいないのが実状です。私の友人には病院で「深夜に働いているのが不調の原因なんだから仕事やめれば?」と、どこかの貴族みたいに役に立たないアドバイス(?)を受けたケースまで存在します。このような極端な例は少ないでしょうが、不眠に睡眠薬を出されておしまいというケースは多数存在するでしょう。このような場合どのようなアドバイスをすればよいのでしょうか?
 今回、世界的医学誌「BMJ」にて「深夜のシフトに入っている人のための睡眠を最適化する」ための具体的なアドバイスが紹介されたので、試してみるとよいでしょう。
深夜シフトの初日の日中
この図の優れたところは深夜シフトの開始から終了まで満遍なくカバーしていることです。順を追って紹介していきましょう。
・目覚まし時計をセットせずに、自然に起きる。
・朝のコーヒーは避ける
・午後2時~6時の間に90分程度の睡眠をとる
「目覚ましをつけず」というのは体の疲れをとることや遅めに起きるために役立つので直感的に正しいと思いますが、あとの2点は意外です。特にコーヒーなんかは「気合を入れるぜ!」と飲んでしまいそうです。早い時間帯に元気を出してしまうと仮眠についても10分程度仮眠をとることを勧めることは多数存在しますが、「90分」という時間をとるのは意識をしないとなかなか難しいでしょう。

深夜シフト勤務中

・活動的であり続ける

・シフトの早い時間帯に10~20分仮眠をとる

・仮眠を摂る前にカフェインを摂る。ただし、カフェインを摂るのはそれで最後にする

・食事は軽めでリラックスする程度に。

・眠気によるパフォーマンス低下を減らすため、重要な業務にチェック項目を組み込む

深夜シフト中の仮眠は通常推奨される10~20分程度で直前にカフェインを摂るという定石パターン(目が覚めた時にカフェインが効きだして切り替えがうまくいく)で良いようです。

 「覚醒促進薬」とはカフェインではなく、モダフィニルのようなナルコレプシーに使う薬を指すようですが、これは日本国内で気軽に使うのはほぼ不可能でしょう。

「重要な業務にチェック項目を組み込む」は解釈が難しいですが、区切りや目標をつけて、無意識に作業することをさけるということでしょうか?アラームなどを使ってもよいかもしれません。

深夜シフト残りわずか~帰宅

・カフェインやニコチンを避ける

・光を避ける(曇りの日でもサングラスをつける)

・できれば自家用車ではなく、公共交通機関で帰る

深夜シフトの最後の方は睡眠のことを考えての行動を心がけた方がよいということになります。カフェインやニコチンは覚醒作用があるので、避けるべきです。タバコはもちろんのこと、禁煙中の人はニコチンパッチもこの時点ではがした方がよいでしょう(ニコチンパッチの副作用に不眠、悪夢があるのだ!だから寝る前にはがさなければならない)。

 光によって睡眠モードが打ち消されてしまうのも有名です。くもりでもサングラスを付けた方がよいというのですから、光の効果はかなり強力であることがわかります。

 そして、自身で車の運転のも避けた方がよいとしています。たしかに、車の運転というものはストレスがかかるので、睡眠の妨げになるということは予想ができます。朝の時間帯ならば交通も動いているはずなので、安眠のためにも公共交通機関を使ってみてはいかがでしょうか?

深夜シフト中の日中

・なるべく早く寝る。

・光とスクリーン、お酒を避ける。

・静かで暗くした部屋で寝る。

・如何なる睡眠であっても、寝ないよりは良い。その中で最大限とれるようにする。

 この辺りは直感的にも正しいように思います。例え目が覚めてしまっても、「だったらこのまま起きる!」というのは避けた方がよいというわけです。日中になると外が明るく騒がしくなるので、防光・防音対策をすると良いと思います(知り合いは部屋中にプチプチ君を貼りまくって「防音」としていた)。

深夜シフトが終わり、リセットする

・シフトから帰ったら90~180分ほどの仮眠をとる。

・目が覚めたら外へ出歩く。

・なるべく通常と同じ時間に睡眠をとる。

・次の日は日中の仮眠は避ける。

 直感的ではありますが、効果がありそうです。私が深夜シフトを行った時にこれを行っていれば、筋トレの質が下がることもなかったでしょう。もし再びする羽目にたら、試してみます。

 私のつたない英語と読解力によると、このような感じになります。深夜シフトで働いている方は試してみてもよいと思います。

全文が読めるようになったら、科学的根拠についても紹介していこうと思いますので、しばしお待ちいただければと思います。

参考文献

2018 BMJOptimising sleep for night shifts」