高齢者は筋トレ後にかなりのたんぱく質を摂ったほうがよい。
要約
・高齢者が筋トレ後にプロテインを摂る場合、少量では効果がない。
・一般的な推奨量の倍の量を摂ったほうが筋肉の発達に有効である。
前に紹介した論文では、虚弱ではない人に関してはプロテインをとっても筋肉の改善にあまり役に立たないということを紹介しました。
効果がでなかったことの考察として、
・すでにたんぱく質を十分に摂っている人には無効であるのでは?
・一回あたりに摂る量が少なかったためではないか?
などの考察がされていました。この考察の答えになる論文を発見することができたので、紹介しましょう。
2019年に発表された論文(1)では、平均年齢66歳という高齢者を対象として、筋トレのあとに様々な量の牛乳たんぱくを摂取し、その後の筋タンパク合成の変化について調査をしています。その結果は興味深いもので、筋トレ後にタンパク質を摂らなかった場合と比較して筋タンパクの合成速度は
・15g 影響なし
・30g 増加傾向(P=0.07)
・45g 有意な増加
という結果となりました。実に興味深いもので、15gという一般の人にはそれなりの量のプロテイン量では、筋トレ後の筋肉量合成には影響を与えないということになっています。有名なプロテイン入りの食品や飲料1つでは、高齢者のトレーニング後の筋肉量増加にはあまり影響がないということになります。
このことから、高齢者が筋肉量の増加を目的にタンパク質を摂るならば、筋トレの後に少なく30g、出来れば45g摂るべきであるということになります。
この量は結構な量なので、腎臓の値が悪い、医薬品を使用中などの人は医療従事者に相談してから行うようにしましょう。ただし、高齢者の場合はたんぱく質の摂取量が多い方が死亡率が少ないという報告もあるので(2)、たんぱく質をしっかり摂ることはむしろ良いと考えてもよいでしょう。
30g以上のタンパク質を摂ることはなかなか難しいですが、わりと簡単に買えるものもあり、例えば下のドリンクは持ち運びも簡単なうえに、一般的なスポーツ用品店で販売されているうえに、エニタイムフィットネスでも販売されているようなのでお勧めです(もう少し安ければなあ)
筋トレはただ行うだけでもとても健康によいですが、高齢者が筋肉をつけることが目的であれば多めにタンパク質を摂るのがお勧めです。
参考文献
(1)2019 J Nutr.「Dose-Dependent Increases in Whole-Body Net Protein Balance and Dietary Protein-Derived Amino Acid Incorporation into Myofibrillar Protein During Recovery from Resistance Exercise in Older Men.」
(2)2014 Cell Metab.「Low protein intake is associated with a major reduction in IGF-1, cancer, and overall mortality in the 65 and younger but not older population 」