筋肉が弱いことは脂肪肝のリスクである。
要約
筋肉が弱いことは脂肪肝のリスク因子である。
最近、筋肉が弱いことは様々な疾患のリスク因子であることがわかっています。今回は筋肉と脂肪肝についての関係を紹介しましょう。
2019年のClinical Nutritionで紹介された論文(1)では、18歳から80歳を対象とした計5132人を対象としたcross-sectional study(横断研究。詳しくはgoogleさんに聞いてみよう)を行っています。その結果、
・筋力が弱い人は脂肪肝のリスクが1.47倍高く、筋肉量が少ない人は2.57倍高かった。
・サルコペニア(筋肉量の低下に加え、筋力や身体機能が低下した状態)の人は脂肪肝のリスクが3.91倍高かった。
・サルコペニアかつ肥満の人は脂肪肝のリスクが10.42倍高かった。
ということが示されました。筋肉が多いことは血糖値の安定化、消費エネルギー量の増加や抗炎症性物質の産生などを通じて肝臓の保護に役立つことが考えられますので、妥当な結果ではないでしょうか。
「もともと筋肉が強いような優秀な遺伝子があるから、脂肪肝のリスクが低いだけでは?」
と、斜に構えた意見もあるかもしれません。しかし、これはすぐに反論がだせます。なぜなら、筋トレをすることで脂肪肝が改善するということはすでに示されているからです。 詳しくは↓
肝臓の値の改善はまず食事制限が思いつきますが、さまざまな要因であまり健康的ではない食事から抜け出せない人も多いと思います。そのような人は筋トレを始めて筋肉をつけるところからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
参考文献
(1)2019 Clinical Nutrition「Low muscle mass and low muscle strength associate with nonalcoholic fatty liver disease」