筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

内臓脂肪を減らすために有効なのは、薬よりも運動である。

要約

・医薬品を使うよりも単に運動をした方が内臓脂肪が減った。

 内臓脂肪の蓄積はメタボリックシンドロームの重要な要素の一つです。蓄積された内臓脂肪からは炎症を引き起こす物質を放出して体にダメージを与えるために心血管病、糖尿病、ガンなどさまざまな病気を引き起こします。そのうえ、腹が出っ張ってかっこ悪い体になってしまいます(こちらのほうが気がかりの人も多いかもしれません)。

 内臓脂肪は一般的には簡単な運動で減ることがわかっています。一方で、医薬品の中には内臓脂肪の減少に役立つのではないかとされるものもいくつか存在し、抗肥満薬、糖尿病薬、脂質異常症薬の一部で調査がされているそうです。それでは、内臓脂肪を減らすためには運動と薬、どちらが有用なのでしょうか?

2019年に発表された Systematic Review and Meta-analysis によると、やはり科学的にみても運動を行う方に軍配が上がっています(1)。

 この論文では、運動または医薬品が内臓脂肪や体重に与える影響を解析しています。その結果、

・運動の方が内臓脂肪を減らす効果が高かった。

・体重の減り方は同じ程度であった。

ことが示されています。運動の方が内臓脂肪を減らす効果が高いということは、内臓脂肪による心血管病や糖病病、がんなどを防ぐために有用であるということが言えます。さらに言うと、体重の減り方のわりに内臓脂肪を減らす効果が高いということは、腹回りが減ってかっこいい体作りに有効であるということも言えそうです。

 使用された医薬品ですが、Gemfibrozil(フィブラート系の脂質異常症の薬)やOrlistat(脂肪排泄を促進する抗肥満薬)は日本では認可されていません。Rimonabant(食欲を抑制する抗肥満薬)に至ってはうつを引き起こすということで、医薬品としては利用されいません。ほかの医薬品も高価であったり、注射をしなければならない、副作用に気を付けなければならないなどの問題があります。運動は特にそのような心配はありません。

 健康によく、その上かっこいい体作りにも役立つ運動をして、内臓脂肪対策をしていきたいものですね。

参考文献

(1)2019 Mayo Clin Proc.「Effect of Exercise and Pharmacological Interventions on Visceral Adiposity: A Systematic Review and Meta-analysis of Long-term Randomized Controlled Trials.」