筋トレこそが最強の薬である。

京大バーベル部卒の薬剤師が筋トレや食事法中心に、健康に役立つ情報を紹介します。

筋トレをしているがん既往歴のある人は死亡率が低い

要約

・筋トレをしているがん既往歴のある人は死亡率が低い

・必要な筋トレの頻度は週1回以上でよい。

 がんは身近な病気となっており、事実日本人の死亡原因のワーストはがんです。私の周囲の人もがんになったり、がんで命を落としたりするケースを何度も聞きます。特に若い友人もなったというケースもあり、非常に衝撃を受けたことがあります。
 

 話はすこし変わりますが、国立健康・栄養研究所のホームページの『行政機関発行のパンフレット集 I (主に一般消費者向け)http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1546.html』に『がんの補完代替医療ガイドブック【第3版】』があります。そこで紹介された「補完代替医療に要する1ヶ月あたりの費用」では、なんとがん患者さんは健康食品などの補完代替医療月平均5万7000円(年間68万4000円)もの費用をかけているという報告がなされました。中には、月に50万円もの費用をかけていたというケースも報告されています。怪しい健康食品会社、怪しい病院などに支払っている金額は膨大であるということです。
 しかし、がん患者さんの不安につけ込むような商売をしているのはなにも無名の怪しい団体だけではありません。東証一部に上場するような企業までがん患者さんに対して約1万円もする健康食品を販売しているケースもあるのです(例えばこんな

「がん」検索者につきまとうネット広告に批判 健康食品を「あきらめないあなたに」

記事。がんについて調べているときにこの広告がうっとうしく出てきて、本当に怒りを禁じえませんでした。)
 ここからが本題です。ある時、がんになったことのある友人がこう尋ねました。
「健康に良い方法はいろいろあるんやろうけど、ガンには効果がないんやろうな」
そこに対する私の返答がこうです。
「実は筋トレが効果があるかもしれないという報告がある。だから筋トレを続けることは見た目や肩こり以外にも期待できるかもしれない」
2014年にMayo Clinic Proceedingsより発表された「The Role of Resistance Exercise on All-cause Mortality in Cancer Survivor」という論文によると、cancer survivors(がんになったが、生存している人々)を追跡した結果、
・運動量と死亡率の間に関連は見られなかった
・筋力を強くする運動を行っている人は、33%死亡率が低かった
という結果が示されました。筋力を強くする活動とは、すなわち筋トレです。一般的に運動は健康に良いのですが、がん患者さんの命を救うためには有酸素運動などの一般的な運動よりは筋トレを行った方が良い可能性があることが示唆されたのです。これは運動量を含めた交絡因子で調節をなされており、試験期間も15年以上と長いのでそれなりに信頼がおけるデータといってよいでしょう。
筋トレの頻度も
「週に1回以上筋トレをしているかどうか?」
で分けられており、ダイエットやボディメイク、アスリートのように週に何度もしなければならないということはありません。わずか週1回、ジムに行かずとも自身の出来る範囲で行えばよいわけなのです。主治医の許可は必要ですが、軽い筋トレならば許可はでるでしょう。
 これから、家や公園でも出来るような筋トレメニューを紹介していこうと思いますので、どうか怪しい「商品」にだまされず、筋トレをに挑戦してほしいと思います。